昭和って言うのはやっぱり刺激的な時代でしたよ。みんなの欲望が渦巻く、とても刺激的な時代。そして、もっと自由だったね。今はこの世に自由はないよ。今が青春の子どもたちが可哀想だなって、自由を持ってないでしょ?
自由という概念が、、、もう意識してないよね。派遣でもいいから昼間に働きにいって、コロナの中でも仲間と適当に酒飲んで、インターネットに浸かりっきりで、それが自由だと思ってんだ。だから、哀れなもんだな。
俺たちは、どうしていったらいいのか分からない自由があったよ、むしろ。色んなことが出来そうなんだけど、さて何をやったら良いものやら、そういう自由感があったよ。そこは圧倒的に違うんじゃない。だから、そういう昭和観をもう一回振り返ってみたかった。
『黄金を抱いて翔べ』(2012年)の前くらいからだね。『ヒーローショー』(2010年)の終わりくらい。同時に沖縄の戦後ギャング史映画の企画があったんだよね。それで沖縄に何度も行って調べてたの。でも、沖縄はちょっと遠すぎるかなって。それで津々浦々の昭和のヤクザたちの本を読み漁って、先輩のジャーナリストたちが色々と指南してくれたんだよね。
「抗争劇なんかやりたいよなー」って。男の子なんだから(笑)活動屋っていうのはみんなやりたいわけよ。犯人と警察の追っかけっこなんてどうでもいいんだよ。映画屋はヤクザものの抗争劇をやりたいわけだよ(笑)そういうのは単純な夢よ、昔からあるけど、僕らはそれを観てきた方で精一杯だったからね。『仁義なき戦い』とか『北陸代理戦争』とかね(笑)だから北陸代理戦争のワンシーンもパロディで作ったぐらいで、大好きなやくざ映画だったな。
通路で座って観たんだから、オールナイトで。オールナイトも満員で入れないんだよ。東映の映画館なんて、ドアが開いているんだよね。クラクションの音は入ってくるし、外から観てるんだよ。人が多すぎて(ドアが)閉まんないんだよ。もう観えるわけないのに、垣間見てるんだよね。
よっぽど熱いものを貰って帰るよね。人間とはいかに生きるべきか。そういうのはね、やっぱり時代の豊かさ、自由さ。そういう時代に、もがきながら生きた彼らを一回ピックアップしたかった。
親分さんの谷山役は升毅なんだけど、彼は『ガキ帝国』(1981年)の時に敵の嫌われ役をやってたんですよ。だから「お前、大きくなったらこうなったんやな」「升ちゃん、ガキ帝の時から成長したな、今組長やで(笑)」って。(升さんも)「ホンマですよ」って。
一人もんばっかりが寄ってきて、そこから自分たちの家庭を築いていくわけでしょ。だからまず先に疑似家族がいないと成り立たないんだよね。一人で家出してきたし、帰るところもないから疑似家族の中に入れてもらうしかない。そういう社会だから裏切ってはならないとか、嘘ついてはならないとか、人の女は取るなとか、そういう鉄則があるんだよね。それすら守れなかったら最低だぞ!って。
色んなことを自分の人生と突き合わせられるんじゃないかな。比べると物凄く面白い。俺は、じゃあどうなんだろう?とか、自分は何のために、誰のために生きているんだろう?とか。哲学が出来る時間があってもいいじゃないですか。この映画がヒントになってくれたらって思うよね。
まとめ
今回は「井筒 和幸」の名言・名セリフ集をご紹介しました。
お気に入りの名言や心に響く名言は見る人によって変わります。
「井筒 和幸」の名言には、今回ご紹介していないものの中にも、まだまだ名言と呼ばれるものが数多く存在するでしょう。
ぜひ自分のお気に入りの名言を見つけてみてください。