まっさきに気がついている君からの手紙いちばん最後にあける。
何層もあなたの愛に包まれてアップルパイのリンゴになろう。
二週間先の約束嬉しくてそれまで会えないことを忘れる。
シャンプーを選ぶ横顔見ておればさしこむように「好き」と思えり。
ぶらんこにうす青き風見ておりぬ風と呼ばねば見えぬ何かを。
焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き。
男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす。
別れ話を抱えて君に会いにゆくこんな日も吾は「晴れ女」なり。
肉じゃがの匂い満ちればこの部屋に誰かの帰りを待ちいるごとし。
年下の男に「おまえ」と呼ばれていてぬるきミルクのような幸せ。
昨日逢い今日逢うときに君が言う「久しぶりだな」そう久しぶり。
「勝ち負けの問題じゃない」と諭されぬ問題じゃないなら勝たせてほしい。
優等生と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる。
眠りつつ髪をまさぐる指やさし夢の中でも私を抱くの。
明治屋に初めて二人で行きし日の苺のジャムの一瓶終わる。
今何を考えている菜の花のからし和えにも気づかないほど。
お互いの心を放し飼いにして暮らせばたまに寂しい自由。
ひかれあうことと結ばれあうことは違う二人に降る天気あめ。
はなび花火そこに光を見る人と闇を見る人いて並びおり。
思いきり愛されたくて駆けてゆく六月、サンダル、あじさいの花。