これも師匠に言われたことなんですが、苦労や苦しみは自分に染み込ませてはいけない。染み込んだら、噺がしみったれてしまう。それは自然とにじみ出てしまうんです。そうなったら、誰も笑ってくれませんよ。苦労や苦しみは、突き破って、乗り越えなければならない。噺家はそれを笑い話にしなければならない。最近の言葉ではブレイクすると言うのでしょうか。
目標がいる、憧れがいるというのは大事だと思います。
落語は、自分で創作して、話を進め、時にはそれを直すことができます。人に使われるのは嫌だと思ったんです。それに何よりも、私にとって落語が本道なんだと、思い直したことが大きい。
芝居の経験よりも、これから進む道に迷ったら、自分の本道に立ち返ることの大切さを知った
迷ったら原点に立ち返れと。脇道にそれたりすることが悪いというのではないですよ。ついつい仕事で“浮気”もしてしまうこともあるでしょう。でもね、そこで少しでも迷いが生じるのなら、自分の立ち位置や、ベースとなっていること、そして根っこにあるものを見つめ直すことが大切なんです。
笑点では“お足”(出演料)をいただきながら、私の宣伝もしてもらったようなこともあります。でも、笑点で40年間メンバーとして、10年間は司会をやらせていただき、大喜利の勉強もさせてもらいました。
高座で何をすべきか、高座を離れたら噺家として何をすべきか、これは自然と身につけておくべきことです。師匠が弟子に教えることではない。例えば、最近の若い人の中には、挨拶もきちんとできないことがあります。教育は学校で行われるべきという人もいるけれど、挨拶は家庭で教えるべきだ。着物のたたみ方も知らない人もいます。確かに着物を着る機会は減りましたからね。
噺家になるためには、知識ではなく、生きる知恵を持ってなくちゃいけないんです。
聞き上手になるということ。よく「話し上手」というでしょう。私は、これは正確ではないと思っています。正しくは「聞き上手」なんじゃないかと。そりゃ私は噺家です。話は人よりはうまいかもしれない。でも人の話を聞くのが上手な人は、話もうまい。これは噺家だけの話ではないでしょう。
上に立てば立つほど、下に優しく上に厳しくなるということ。これも大事なことですね。どんな組織でも、共通することではないですか。
まとめ
今回は「桂 歌丸」の名言・名セリフ集をご紹介しました。
お気に入りの名言や心に響く名言は見る人によって変わります。
「桂 歌丸」の名言には、今回ご紹介していないものの中にも、まだまだ名言と呼ばれるものが数多く存在するでしょう。
ぜひ自分のお気に入りの名言を見つけてみてください。