選手にけがをさせるほど練習させるのは良くない。それは当たり前です。
でも、みずきちゃんとよく話すんですが、『この練習をしたらけがをするかもしれない。でもやらないと世界と戦えないとしたらどうする?』って。
私たちは迷わず、けがをしてもいいから突き進む道を選びます
実業団時代を振り返ると、チーム内に有森裕子選手がいて、鈴木博美選手がいて、ある意味、試合より練習のほうが緊張しました。
今は選手層が薄くなり、練習量が減り、選手が練習でもまれる状況が減ってきたのが心配です
昔はチーム内に競える選手がたくさんいて、高いレベルで接戦になっていましたが、今は人数が減って、チーム内で刺激しあうこともなかなかありません。
だからこそ、日本が一つのチームとなって、海外と刺激を与えあう環境が必要だと思います
「あしたのジョー」のように、戦い終え、そのまま頭の中が真っ白になっていくほど走れたら本望なんです
条件の違う4大会で3人を選ぶというのは初めから決まっていることなので、選手はレースに合わせてがんばるしかない。
それだけです。とにかく、レースに向けて最大限の力を発揮することを考えないと力は出せないと思うんです。
決められた大会で実力を出すこと。厳しいようですが、選手にはそれしかありません
私もそうでしたが、誰もやったことがないのに本当にできるのかなという不安の中でやるのと、もうやり遂げた人がいる道を通るのはぜんぜん違います。
女子のみんなには、もっと自信を持ってもらって、自分にもできるんだと思ってほしいです。
体形を見ても、私たちのころと今の子どもたちは脚の長さも違うし、背の高さも違うし、ものすごく恵まれた素質を持っています。
あとは、それを咲かせるだけです。できないはずはありません
小学校の頃は、走ることは好きでしたが、走ることを生活の中心には置いていませんでした。
大会に出る機会もあまりありませんでした。中学校で陸上部に入ってからは、何とかして強くなりたいのにその方法が分からなくて悩むことが多かったです
私はすべての大会において、結果がどうなろうとも、スタートラインに立った時は『やるべきことはすべてやった』という気持ちでした。
なぜそういう気持ちになれるかというと、それまでの一日一日がすべて、『きょうはすべてやりきった、もう走れない』『ありがとう。あしたもまた一緒にがんばろう』と
抱き合って終わる毎日を過ごしてきたからです
太陽みたいな存在ですね。いつも明るく照らしてくれて。時には親になり、時には恋人のような時もあるくらい、すごく身近な方です。
私以上に私のことを知っているのかなと思います
復活へのモチベーションは、すごくたくさんの人に応援してもらってきたので、その人たちに恩返しをしたい思いでした。
そして、2005年の東京国際女子マラソンで復活につながったんです。最後の目標は、国内3大国際女子マラソンで優勝することでした。それはもうずっと前からやりたくて胸に秘めていたんです
ハートはそんなに強くないと思います。どちらかというと精神的に弱いです(笑)。ここまでやってこられたのは、いつもその時々の目標を追いかけていたからだと思います
ケニアでマラソン大会をしませんかという話をいただいて、それなら一緒に何か意味のあることをしたいと考えたんです。
ケニアはまだ靴を履けない子どもたちが大勢いると聞きました。私も靴は自分の体の一部と思って大事にしてきたので、子どもたちと大切な靴でつながりたいということで、靴を渡すことに決めました
スポーツ選手と話す時、私はマスコミ人というよりもアスリートの一員として、気持ちを共有しながら、私もそういう時があったな、こういうことを思っていたな、と自分に引き寄せて選手と話すようにしています。でも、相手がここは聞かれたくないと思うことは、実は視聴者が一番聞きたいところなんですよね。そこへ踏み込んでいいのかどうか、私自身すごく悩んでいるところです。そっとしておいてほしい話は聞けない、突っ込めないところがあります
引退直後の2009年4月からスポーツキャスターのお仕事をしているんですが、ジャンルを問わず、いろんな人に聞きに行くことができるし、トップ選手ならではの取り組みや精神状態や、考え方を聞くことができる。それだけでも引き出しを増やすことができるでしょうし、私自身と共通する部分もあれば、共通しない部分もある。こういう練習でもトップ選手になれるという開拓をすることもできるんです
小出監督は本当に指導がすごいと思います。長年、高校で陸上競技を指導してこられたので、この選手にはこんな言葉を、あの選手にはこんなメニューを、といった具合に、その人に合った声をかけ、練習メニューを作ってくれました。それは、指導者として引き出しが多かったからだと思うんですね
現役を引退して、これから何をしていこうと考えた時、それまで走ることしか考えていなかったことに気づきました。自分は『井の中の蛙かわず』だったと。逆にそうでなければいけなかったとは思うんですが、一日の生活は食べて、寝て、走るという、本当にそれしかなかったんです。テレビも見ず、パソコンもケータイもしない、そんな純粋なマラソン生活でした
今はまだスポーツキャスターをやっていても反省点が多くて、テレビに出た後、かなり落ち込むことが多いんです
私自身、初めからトップアスリートだったわけではないじゃないかと。高校・大学時代は本当に弱かったので、キャスターになって、いきなりスラスラとうまくいくわけはないんだと。これを続けていけばもう少し上まで上がっていける。陸上で言えば実業団のレベルになれるようにがんばろう、という気持ちでやっています
性格はポジティブなんですけど(笑)、落ち込む時は落ち込むんです。現役時代は、しっかり練習して一日が終われば、きょうは8割できた、9割できたと、充実感と達成感を感じられたのに、この仕事に就いてからは反省ばかりで、『きょうは20%、30%しかできなかった』と落ち込んでしまうんです
市民ランナーはいろいろな指導本を参考にしたり、市民ランナー同士で情報交換したりしながら切磋琢磨せっさたくましています。そういった層の厚みが増して、全体のレベルアップにつながることに大きな意味があると思います