監督就任当時のホークスは万年Bクラスで「そこそこ頑張って、そこそこ給料がもらえればいい」という体質に染まっていたのです。そうしたチームの意識を変えるのが、大変でした。とにかく、言い続けるしかないわけです。優勝を目指そう、この世界で生きていける技術を身につけよう。それには練習しかない。
王貞治のバッティングが出来なくなりました。
真剣で斬り合いの勝負をしていた昔の武士が『時にはミスもある』なんて思っていたら、自らの命に関わってしまう。だから彼らは、絶対にそういう思いは、持っていなかったはずです。時代は違えど、命懸けの勝負をしているかどうかですよ。
ステップを踏んで、選手は育っていくんです。確かにファンの皆さんから見たら物足りない所もあるかもしれないが、段階を踏んで選手は力をつけていっていますから、暖かい目で見守って欲しい。
百回やっても、千回やっても絶対俺はちゃんとできる、という強い気持ちを持って臨んで初めてプロと言えるんです。
だいたいどの世界でも、超一流になった人は、自分を厳しいほど痛めつけてるんじゃないですか。ある意味ではマゾ的。
カネほしさに野球をやる人は、決して本物にはなれないでしょう。
基本的にプロというのは、ミスをしてはいけないんですよ。
ホームランを打つことは注目されたけど、それ以外は、あくまでも王貞治だと思っていた。世間はなかなかそう思っていなかったけど、僕はそういう生き方をしようと思っていたからね。
もう打てないんじゃないかという恐怖は、常について回るんです。
ヒットを打てなくても口惜しくなくなったし、ホームランを打ってもそんなに嬉しくなくなった時、限界がきたと思った。
結果を残してきた人ほど不安と戦ってきたはずだし、恐怖心を持っていない人は本物じゃない。その怖さを打ち消したいがために、練習するわけです。
何々のためとか言う人は、うまくいかないときの言い訳が生まれてきちゃうものだから。
喜んでもらえるような野球をしようと、勝つためにどうしたらいいか、勝ちを積み重ね、少しずつ選手も変わっていきました。
時代はどんなに変わっても、何かを目指して、一本の道を、周りの人とは違うスピードで、違う感覚の世界に住んで、どんどん突き進んでいく人というのは、必ず出てくるんです。
努力を怠らず、目の前にあるものをキッカケを逃さずに、確実に掴んでいけば、必ずどうにかなる。
我々は勝つしかない。勝てばファンも拍手で迎えてくれる。
名選手になることは難しくない。
練習で120%の力で振れ。そうすれば試合は80%の力でいい。
敵と戦う時間は短い。自分との戦いこそが明暗を分ける。