ともしびに陰と陽との二つあり暁陰に宵は陽なり!
右の手を扱ふ時はわが心左のかたにありと知るべし!
乾きたる茶巾使はば湯をすこしこぼし残してあしらふぞよき!
床に又和歌の類をばかけるなら外に歌書をば飾らぬと知れ!
炭置くも習ひばかりに拘はりて湯のたぎらざる炭は消え炭!
夏は涼しいように、冬は暖かなように。
心の師とはなれ、心を師とせざれ。
点前こそ薄茶にあれと聞くものをそそうになせし人はあやまり。
薄茶入蒔絵彫りもの文字あらば順逆覚え扱ふと知れ。
はぢを捨て人に物とひ習ふべし是ぞ上手の基なりける。
習ひつつ見てこそ習へ習はずによしあしいふは愚かなりけり。
中継は胴を横手にかきて取れ茶杓は直におくものぞかし。
濃茶には点前をすてゝ一筋に服の加減と息をもらすな。
とにかくに服の加減を覚ゆるは濃茶たびたび点てゝ能く知れ。
茶はさびて心はあつくもてなせよ道具はいつも有合にせよ!
茶を振るは手先をふると思ふなよ臂よりふれよそれが秘事なり!
壷などを床に飾らん心あらば花より上にかざりおくべし!
掛物をかけて置くには壁付を三四分すかしおくことゝきく!
常の茶湯なりとも、路地に入るより出るまで、一期に一度の会のように亭主に敬畏すべきし。
何にても道具扱ふたびごとに取る手は軽く置く手重かれ。