導入
「スラムダンク」は、『週刊少年ジャンプ』で、1990年から6年間で全276話が連載されたスポーツ漫画です。この作品から生まれたさまざまな名言から、今回は、コミックス第8巻、完全版第7巻、新装再編版 6 (愛蔵版コミックス)、テレビアニメ第27話「安西先生、バスケがしたいです」での一言を取り上げます。
「安西先生、バスケがしたいです」のシーン解説
バスケ部を潰しに来た三井寿
安西先生に恩返しをし、湘北高校バスケ部を日本一にするという希望を持って入学した三井寿でしたが、相次ぐ怪我でチーム内に居場所をなくしていました。その後グレたまま3年生になってしまった三井は、不良仲間とともにバスケ部を潰しに体育館にやってくるのです。
バスケ部の面々は、暴力沙汰を起こしてチームが傷つくことを恐れて暴力で立ち向かえません。それを良いことに不良グループは、暴れ放題です。業を煮やしてリョータや流川が反撃を開始すると、赤木もやってきて、体育館は大乱闘となってしまったのでした。
安西先生が体育館に来た
三井をまだチームメイトだと思っている堀田は「ほんとはバスケ部に戻りたいのではないのか」と諭しますが、三井は逆ギレし再び暴れようとします。また、木暮も「足が治ったのならまた一緒にやろう」と手を差し伸べますが、「バスケに未練はない」と強がる三井でした。
この「未練はない」という言葉に木暮は、三井の胸ぐらをつかんで「おまえはただの根性なしだ」と言い切り、「おれから何度夢を奪えば気が済むんだ」と言葉を投げます。そこへ、安西先生がやってきたのでした。
安西先生の顔を見るなり、安西先生を慕って湘北高校に入学し、湘北高校で全国制覇を夢見た頃の思い出が蘇ります。三井は、バスケ部から離れていた間に胸の中にしまい続けていたバスケットボールへの愛情が溢れ出し、思わずこのせりふが口を衝いて出てしまうのでした。
「安西先生、バスケがしたいです」が生まれた背景
木暮の言葉にバスケ愛を思い出す三井
木暮はこの大乱闘の中、なんども三井に床に叩きつけられながらも、三井への思いを言葉にします。
「なにが全国制覇だ!なにが日本一だ!なにが湘北を強くしてやるだ!」「夢見させるようなことを言うな!」「おまえと赤木のプレーを見たとき、この二人がいれば全国制覇も夢じゃないと」と、木暮は滔々とこの3年間のバスケへの思い、訴えます。
バスケへの思いを断ち切るために体育館に乗り込んできた三井でしたが、木暮の熱のこもった一言一言に、バスケから離れられない自分がいることに気づくのでした。
安西先生への思い
中学最後の県大会に安西先生は、来賓として試合会場に来ていました。三井の所属する武石中学は、残り15秒で1点ビハインドでした。
ボールを追いかけて来賓席に激突してしまう三井は、残り時間がないことから勝ちをあきらめていました。その時安西先生から「あきらめたらそこで試合終了だよ」と言われたことに奮起し、逆転優勝をもぎ取ります。
その時「安西先生に恩返しがしたい」と誓って、入学したのが湘北高校だったのです。
自分がバスケから離れられないことに苛立ち、湘北高校バスケ部を壊しに来た三井でした。しかし最後に安西先生の顔を見たとき、三井は湘北高校へ入学した時の気持ちを思い出します。そして入学後の、バスケが大好きだったころの自分が思い出され、先生の前に涙を流して跪くのでした。
『スラムダンク』について
スラムダンクは、1990年から1996年まで「週刊少年ジャンプ」に連載された、神奈川県の架空の高校のバスケットボール部を題材とした少年漫画です。今回の三井寿だけでなく、登場人物のひとり一人が、バスケットボールや仲間との友情や切磋琢磨を通じて成長していく様子が魅力的な漫画となっています。
単行本
単行本の第21巻から23巻の初版発行部数250万部で、これは当時最高の発行部数でした。また、国内におけるシリーズ累計発行部数も1億2,000万部を超えています。
そして、第40回平成6年度(1994年)小学館漫画賞少年部門を受賞します。また、2006年文化庁メディア芸術祭「日本のメディア芸術100選」にてマンガ部門第1位を獲得するなど、日本のバスケ漫画の金字塔と言われる作品です。
テレビアニメ
テレビアニメは、1993年10月16日から1996年3月23日に、テレビ朝日系列にて、全101話+SP版2話が放映されました。
劇場アニメ
すでに4本上映されていますが、2021年1月7日には、原作者の井上雄彦氏と東映アニメーションより、新作アニメーション映画の制作が発表されています。
タイトル | 公開日 | 内容等 |
スラムダンク | 1994年3月 | 湘北対陵南の練習試合直後の湘北対武園の練習試合が描かれた作品。 |
スラムダンク 全国制覇だ! 桜木花道 | 1994年7月 | 原作第79話でダイジェストが描かれた、インターハイ予選4回戦湘北対津久武の試合がアレンジされた作品。 |
スラムダンク 湘北最大の危機! 燃えろ桜木花道 | 1995年3月 | 湘北対海南のインターハイ予選終了直後の湘北対緑風の練習試合が舞台です。 |
スラムダンク 吠えろバスケットマン魂!! 花道と流川の熱き夏 | 1995年7月 | 花道とは「終生のライバル」となる流川と彼の中学時代の後輩である水沢イチローを中心にした人間ドラマ。 |
まとめ
さまざまな名言を生み出した漫画「スラムダンク」から「安西先生、バスケがしたいです」を取り上げました。木暮や安西先生の存在の大切さも強調されていて、今後のストーリーにも大切な場面でした。
バスケットボールに天才的な才能を持つ三井寿が、挫折とともにバスケを自分から遠ざけようとすればするほど、バスケが大好きだったことが伝わる名言ですね。